ライスカレー100人前事件
安吾の失恋セラピー
「堕落論」
「半年のうちに、世相が変った。(中略)人間が変ったのではない。人間は元来そういうものであり、変ったのは世相の上皮だけのことだ」という冒頭の文章が端的に論旨を表すように、戦争空間の混乱した人間の行動、風俗の変化の原因を人間自身に求めることを拒否し、変化した世相、社会の現象として捉えた。そのうえで、社会は一日で変革を成すが人間には不可能であることを例にとり、人間を救う近道は正しい道を堕ちきること、すなわち自分自身を発見し生き抜くことしかないと説く。
 
失恋とは非常に辛く苦しいもので、恋に破れたその日から自暴自棄になってしまうかもしれない。だが、恋の衝動を再び呼び覚ますためにも、そして、次の恋を見つけるためにも日々生き抜かなければならないのである。失恋によって大きな支えを失いつまずきを感じている、そんなあなたに是非おすすめの一作。
 
「恋をしに行く」
生来病弱な谷村は、ただ精神だけの燃え狂うような恋がしたいと思い、同じ岡本という絵画の先生のもとに通う信子に愛の告白をしに行く。信子は天性の犯罪者と噂されるほど、何十人の情夫があるのか見当もつかない女であったが、その反面谷村の友人の藤子は肉欲のない女だとも推測されている。谷村は肉体力の弱さを自覚すればするほど、信子の人を惑わす魔力に強く惹かれていた。そして、信子に気持ちを打ち明けお互いの体を重ね合わせたときに、谷村が感じたのは肉欲のほろ苦さと、魂をつなぐ一つの紐だった。
 
「女体」の続編として位置づけられるこの作品は、「女体」で激しい魂の恋を求める谷村が信子との恋を実らせる場面で終結する。体が弱く自分の肉体に対して自信のない谷村が、信子に対して逆説的に恋を打ち明ける場面は、恋の持つぎこちなさを思い出させる。
 気持ちをリセットしてはにかんでしまうような恋愛をしたいあなたにおすすめ。
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