ライスカレー100人前事件
名探偵安吾からの挑戦!
「不連続殺人事件」
昭和二十二年七月十五日、詩人歌川一馬の招待で小説家の矢代は戦争中疎開していた一馬の家に行くこととなった。一馬に頼まれて、探偵の才能がある巨勢博士を同行することとなったのだが、巨勢博士が到着する前に作家の望月が殺されてしまう。十八日には一馬の妹の珠緒が、十九日には詩人の内海と一馬と遠縁の娘、千草が、二十六日には一馬の父多門とその落し子の加代子が毒殺される。矢代は巨勢博士に一連の殺人事件は犯人がそれぞれ違う不連続殺人事件ではないかと言うが、犯人がわからないまま八月三日には一馬の元妻で作家の宇津木が、そして八日にはついに一馬が殺されてしまう。物語の結末で巨勢博士が語り始めたこの事件の全貌とは…

第二回探偵作家クラブ賞を受賞したこの作品は、日本で最初の本格的な推理小説であるとの呼声が高い。江戸川乱歩も唸った坂口安吾の至極のミステリーを果たしてあなたは解けるだろうか。
 
「アンゴウ」
矢島は神田で購入した「日本古代に於ける社会組織の研究」という希少な本に戦死した友人、神尾の蔵書印が押されていることを発見する。その本には一枚の用箋がはさまれていて、女手で書かれた数字だけの暗号が記されていた。矢島は妻のタカ子と神尾との仲を疑い、神尾の細君を尋ねたりするが真実はわからない。購入した古書店の主人に売主を聞くと一人の男を紹介され、その男の蔵書からさらに数枚の用箋が見つかったことを連絡される。果たして、このアンゴウを印したのは妻のタカ子と神尾なのだろうか、それとも…

本格的探偵小説である「不連続殺人事件」の連載中に発表されたこの作品は、推理小説に裏付けられた確かな理詰めで物語が展開する。しかし、そこには陰惨な様相はなく、アンゴウの意味を知ったときには、ただただ爽やかな悲しみが残るのである。
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