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「青い絨毯」

 生前未発表の自伝的短篇。戦時中に書かれたと推定される(詳細年譜1945年1月参照)。

 初めての同人誌時代の思い出が、葛巻義敏とのエピソードを中心に描かれている。自伝的小説の第1作「二十一」(1943.6)に続く「二十五」として書き始められたものか、後の「暗い青春」と同じエピソードがいくつか混じっている。葛巻の叔父の芥川龍之介が自殺した「死の家」を象徴的に描写しながら、「青春は暗いものである」という言葉もすでにテーマとしてきちんと提示してある。

 葛巻は、長島萃(アツム)と並ぶ、狂的なものを内に秘めた安吾の親友であった。長島のエピソードが多い「暗い青春」より、本作のほうが葛巻という男の奇人ぶりがよくわかって楽しい。

 長島は安吾に対する強烈なライバル心、執着ともいえる友情、嫉妬と羨望をいだき続け、自殺未遂の果てに狂死した。葛巻もまさにそのように、安吾に執着した。同人会議の場で「友情と恋愛は同じか否か」で激論になった安吾に向け、安吾没後の選集で粘着質な抗議を綴ったりもするが、本作の中間部で安吾からの送金願いに即応したような厚い友情をもち続けた。

 本作の弱点は、葛巻に比重を置きすぎたことと、京都伏見の火薬庫前に間借りした話が長すぎたことで、これにより、テーマが分裂気味になっている。

 戦時当局の検閲を恐れてボツにされてしまったこの原稿を、安吾はテーマ別に細かく分け、「処女作前後の思ひ出」(1946.3)と「暗い青春」(1947.6)にうまく振り分けていった。葛巻の家で翻訳した日々のことや小説を書くに至るまでの話は「処女作前後―」に大部分が引き継がれたため、「暗い青春」では葛巻の話は最小限に抑えられた。

 新潟の生家の話など「石の思ひ」(1946.11)に引き継がれた部分も少しあり、火薬庫にまつわる中間部はごっそり「ヒンセザレバドンス」(1946.10)に引き継がれた。

 細かく振り分けたことによって、それぞれテーマが明確になった。「青い絨毯」の中のエピソードが全部面白いものだったからこそ、このようにパッチワークされたわけだが、各作品ごと独自のエピソードも多く、結局どれも捨てがたい、別々の味わいがある。

 
(七北数人)  
 
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