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「落語・教祖列伝」

 1950年10月、「明治開化 安吾捕物」と同時に連載開始したファルス・シリーズ。

 舞台は江戸時代の新潟。「神伝魚心流開祖」「兆青流開祖」「花天狗流開祖」「飛燕流開祖」の4篇から成り、それぞれ潜水歩行術、モチ竿捕縛の術、ナギナタ、十手、の無名の達人たちが登場する。

 4作とも読み切りで各篇独立しているが、「安吾捕物」同様、定番のプロットがある。最後のほうで藩の家老が召し抱えたいと言ってくる。水練の指南番や剣術師範らが降参して、逆に弟子になりたいと言い出したりする。なにがし流などと名前が付けられ、開祖としてもてはやされる、という流れ。

 とても強そうに見えない野性児が、大名家の武芸のエリートをケタ違いの実力で打ち負かすところに胸のすく快味がある(「花天狗流」だけは少し違う悪役が登場)。

 藩お抱えの師範たちは、各流派の研究や修練の積み重ねで出世の頂点に立ったわけだが、4人は自然の中で独自のやり方でワザを体得した。格が違う、というより、ワクが違う。ワクがないから無限大に発展しうる、仙人に近いワザである。

 そのため、どのワザも武術と呼んでいいものかどうか迷うようなヘンテコなものばかり。特にモチ竿の術など、「チョーセイ、チョーセイ」と呼びかける声音とモチ竿の不思議な揺らし方によって、鳥獣虫魚から人間まで戦意喪失させてしまうという、催眠術みたいなワザだ。山田風太郎の忍法帖シリーズ(1958年〜)を先取りしたような、荒唐無稽な忍術対戦。しかも剣術師範は安吾の大好きな「真庭(馬庭)念流」使い手だという石川淳八郎。念流もかなりのクセ者剣法のはずだが、一太刀も交えずに敗北するに至る。ギリギリと胸が締めつけられていく対戦の場の切迫感は、本格的な剣豪小説にも引けをとらない。

 面白(オモッシェ)え新潟弁の数々が登場するのも魅力のひとつ。お尻はシッペタ、蛙はゲェルマッチョ。はぐれ者を見るとすぐに「くらすけてやれ(ブン殴る意)」と言い出す村人たちの憎らしさ。単純に笑えるホラ話だが、あちこちで反逆精神をくすぐられ、一筋縄ではいかない規格外の魅力がある。

 1冊にするには分量が少なすぎたせいか、生前も没後も単行本化されたことはない。

 
(七北数人)  
 
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